日本のみならず、世界の多くの先進国が抱えている問題に「高齢化」があります。
そして関心があるものに老化の速度を抑える「アンチエイジング」や加齢に伴う肌老化、各種の病への対策です。
プロテオグリカンは美容効果が期待できる成分として、弘前大学を中心に30年に渡って研究を重ねてきたんですね。
アンチエイジングの救世主プロテオグリカンの美肌効果とは?コラムをご紹介します。
プロテオグリカンってどんな成分?
「プロテオグリカンとは何か?」
そんな時、必ず比較されるのが「コラーゲンとヒアルロン酸」ですよね。
コラーゲンやヒアルロン酸は、動物の皮膚や軟骨などに多く含まれている成分で、肌のうるおいやハリを保つ成分として知られています。
プロテオグリカンは、同じように動物の軟骨などに多く含まれている物質で、私たちの体の生理機能に対して、コラーゲンとヒアルロン酸と協力し合って、効果を発揮してくれています。
プロテオグリカンは、糖鎖とタンパク質が結合した「複合糖質」と呼ばれる高分子複合体で、タンパク質である、コラーゲンや糖鎖であるヒアルロン酸をもしのぐ作用を秘めた素材です。
しかし、その抽出や精製は困難を極めました。さらには、抽出・精製に使う薬剤の安全性にも大きな課題を抱えていました。
結果、研究試薬としてのプロテオグリカンは、1グラム当たり3000万円という、大変高価なものとなってしまいました。
1gといえば1円玉と同じ重さです。貴金属より高価な素材ですから、化粧品やサプリメントに取り入れることは夢のまた夢の成分でした。
プロテオグリカンが実用化されるまで
コラーゲンやヒアルロン酸より複雑な構造を持つということは、機能性を研究する上では、ハードルが高く、難しいだけに、研究者にとってはロマンだけが先行していました。
しかし、その壁が打ち破られたのが1998年のことでした。
弘前大学医学部化学第一講座の高垣啓一教授が、青森県でもたくさん摂れるサケの鼻軟骨(氷頭)に注目し、地元企業と共同で研究を始めた結果…。
従来とは全く異なる方法で、非常に簡単に、しかも安全にサケ鼻軟骨から、プロテオグリカンを抽出することに成功したのです。
安価になって、安全性もあって、研究が進むにつれて、プロテオグリカンは、世界的な化粧品会社、製薬会社、食品会社が注目してきました。
このような経過から、プロテオグリカン入りの化粧品やサプリメントが続々とデビューしていきました。
コラーゲン、ヒアルロン酸をしのぐ新成分として、雑誌でも取り上げられるようになったのです。
プロテオグリカンは、美容ばかりでなく、免疫や腸内の共生菌とのかかわりなど、健康の本質にも深く関わっています。
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プロテオグリカンの美肌効果
皮膚や軟骨のような弾力に富んだ組織には、細胞を包み込みながら緩やかに結びつける超微小の構造体がたくさん存在しています。
栗ヨウカンにたとえるとわかりやすいのですが、栗を組織細胞とすると、栗と栗をつないでいる柔らかい羊羹の部分が細胞外マトリックスです。
ここにプロテオグリカンがあるんです。
プロテオグリカンとは、糖鎖とタンパク質が結合した複合体で、私たちの皮膚や軟骨などの柔軟な性や弾力、つまり復元力を維持しています。
プロテオグリカンの特徴は、水をよく吸収することです。
スキンケア成分で有名なヒアルロン酸は、ムコ多糖類です。
ヒアルロン酸は、人体では関節の軟骨や皮膚、眼球などを構成している成分のひとつで、組織の基礎となっていて、体の組織内に単体としてフリーな形でも存在しています。
ヒアルロン酸が注目される第一の理由は、保水力の高さで、わずか1gで、6ℓもの水を保持することができます。
ヒアルロン酸を使った化粧品は、この優れた保水力を肌の保護やハリの維持に応用したものです。
また、ヒアルロン酸は、細胞の新陳代謝にも影響力を持っています。
傷の回復を早めたり、癒着を防ぐ効果の他にも、関節機能の改善や、目の手術の補助剤、点眼剤にも使われています。
一方、プロテオグリカンは、皮膚、骨、軟骨、腱、血管、脳など、動物の体のあらゆるところにあります。
細胞膜にあって、異変が起きた時の見張り役を果たしているのがプロテオグリカンです。
プロテオグリカンの優れている、高い保水力や弾力性、潤滑性を活かして、化粧品への応用が始まっています。
他の糖鎖類よりも、水酸基を多く持っているため、美容面に効果を期待できます。
プロテオグリカンへの健康への応用
また、健康食品や、再生医学、免疫治療などへの応用が期待され、細胞の増殖、免疫機構の調整などにも優れた効果がわかり始めてきたのです。
弘前大学では、さまざまな研究を進めていますが、紫外線でダメージを受けた皮膚を修復する作用、上皮細胞の新陳代謝を促進する作用、関節炎、メタボリックシンドロームの改善などの緩和に対する効果が確認されています。
ヒアルロン酸が一般の人に注目され始めたのが19820年代末からですが、それ以前は主原料はニワトリのトサカでした。
脂肪やタンパク質を分解除去しながら、ヒアルロン酸だけを取り出していましたが、乳酸菌がヒアルロン酸を効率よく生成することがわかり、培養抽出で量産化に成功し、一気に生産化が進みました。
プロテオグリカンも、大きな可能性については研究者からの間で早くから関心が集まっていたのですが、研究をしたくても、そのための試薬自体が高価で自由に使うことができなかった経緯があります。
その中での、サケの鼻軟骨(氷頭・ヒズ)から簡単に抽出できるようになった、プロテオグリカンは、これからますます、いろいろな分野の研究が進んでいくことになるはずです。
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プロテオグリカンのEGFに似た作用
プロテオグリカンがその効果を最も発揮できるのは、化粧品分野とアンチエイジング分野です。
動物のプロテオグリカンには、EGF(細胞のよみがえり因子)と、アミノ酸配列の似た部位が存在することが遺伝子解析で証明されています。
EGFとは、アメリカのノーベル賞科学者「スタンリー・コーエン博士」が最初に発見した、上皮細胞増殖因子、と呼ばれるたんぱく質です。
EGFは、さまざまな上部組織の新陳代謝の再生をにぎっている重要な因子で、皮膚組織においても、肌のコンデションを守る大きな役割を担っています。
しかし、年を取ると共に、その分泌量は少しずつ減っていきます。
皮膚のEGFが少なくなると、細胞の劣化が進み、体の年齢に応じて肌が乾きやすくなったり、硬くなったりします。
シミなどが増えやすくなる現象も、EGFの分泌低下で細胞の新陳代謝が衰えてくることが原因のひとつと考えられています。
プロテオグリカンのアンチエイジング効果
プロテオグリカンが、実際の医薬品に応用されるまでには相当な時間がかかります。
医薬品としてのデビューはまだ先のことですが、先駆けて進んでいるのが、食品と化粧品のへの応用です。
特に注目されているのが、アンチエイジング効果です。
アンチエイジングとは、ホメオスタシス(生命の恒常性)を活性化させることです。
もう一つの期待は、直接肌に塗ることで得られる美容効果です。
プロテオグリカンは、組織の弾力や復元性をつかさどる構成物質です。
これまで基礎化粧品として使われてきたヒアルロン酸や、コラーゲンと共に使いことができます。
しかし、アンチエイジングをうたう製品に関する使用感は、個人の感想を元にしたものが多いのが現状です。
これをデータで示すことができれば、その効果をもっと客観性として証明できるかもしれません。
デビューしたばかりのプロテオグリカンも、多くの使用実感を集めて分析し、統計的に効果を示すことができれば、個人感想の域を抜け出せるかもしれません。
最近では、さまざまな分野から相次ぐように信頼できるデータや証言が発信されるようにもなってきました。
●ひざの痛みやこわばり
●肌に直接塗るモニター試験
●美容コーディネーターによるモニタリング
など、さまざまな分野の方々が、実証を繰り返しています。
最後に
プロテオグリカンを一言でいえば、「お肌の自然治癒力を上げてくれる成分」であり「サラッとした質感なのに、保湿効果を長時間キープしてくれる成分」であり、「水分力が高まりくすみが解消され、透明感がアップする成分」です。
アウタービューティーとインナービューティーを兼ね備えていて、心身とも美しい、太陽のように輝いている女性、これからの美女の基準になると思います。
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※参考文献:奇跡の新素材プロテオグリカン弘前大学プロテオグリカンネットワークス